Aさんは、運送会社にドライバーとして勤務していましたが、繁忙期と閑散期の収入差が激しく、借入を繰り返すようになっていました。当初は、順調に返済できていたものの、持病の悪化に伴い、度々休職するようになり、借金が膨らんでしまいました。
体調が良くなると復職してはいたものの、思うように安定した収入は得られず、次第に借金の返済も滞るようになり、家賃も支払えなくなってしまいました。また、複数の貸金業者から裁判を起こされ、うち1社からは給与の差押えを受け、自力での解決は難しいと感じ、当事務所にご相談に来られました。
Aさんは、すでに給与の差押えを受けている状態であり、また、家賃滞納により、大家から退去を迫られている状態でした。給与の差押えを解除するために、早急に申立することが必要になることを説明し、自己破産のご依頼を受けました。
給与差押えを解除するため、申立に必要な書類を早急に集めていただきました。申立前の最終打合せでは、書類の内容確認とともに、改めて少額破産事件の手続の流れや費用などを説明しました。
申立後、破産開始決定が出され、無事に給与差押えは解除されました。ただし、東京地方裁判所では、弁護士が債権者に受任通知を発送した後から申立までの間に差し押さえられた給与は、偏頗弁済(一部の業者だけに返済すること)となり、否認権(債務者の財産を取り戻す権利)を行使して、業者が差し押さえで取得した分を取り返す必要があり、必然的に破産管財人を付ける少額管財事件となります。
破産管財人が選任されると、申立人(依頼者)は、破産管財人と打合せをすることになります。当然、ほとんどの方は、初めての経験でしょうから、破産管財人との打合せ前には、どういった点に注意すべきかなどをお伝えし、打合せにも当事務所の弁護士が同行しました。
打合せでは、破産管財人から毎月の家計状況を提出するよう指示がありましたが、当事務所にご依頼いただいてからは、毎月の家計状況を提出してもらい、家計管理のアドバイスもしていましたので、特に問題はありませんでした。破産管財人に対する報酬も4回の分割払いで無事に支払いが終わり、ご依頼から約半年で免責決定が下り、580万円あった借金がゼロになりました(ただし税金を除く)。
Costかかった費用の内訳
着手金 28万円
申立費用3万円
管財人費用20万円
合計51万円
弁護士費用に関しては、自己破産の弁護士費用ご覧ください。
2022年3月までの費用体系による算出です。税別で表記しています。
債務整理、特に破産事件を数多く取り扱ってきた。これまでに破産申立を行なった件数は6000件以上。依頼人の利益を考えることを第一に、法律サービスをもっと身近なものにしていくことを目指す。東京弁護士会春秋会の一員として編集に携わった書籍に『実践 訴訟戦術-弁護士はみんな悩んでいる-』などがある。
※本事例は、法律事務所ホームワンが過去に取り扱った事例を、プライバシーを考慮し、内容を変えて紹介するものです。