個人再生にはどのようなデメリットがあるのでしょうか?ここでは、そもそも個人再生とは何かということ、個人再生の要件について説明した上で、個人再生のデメリットについて解説します。デメリットだけではなく、個人再生の注意点や自己破産や任意整理との違いについてもご紹介します。
個人再生は、裁判所から再生計画の認可決定を受け、借金を大幅に減額してもらう手続きです。個人再生では、減額された借金を原則3年かけて分割して支払うことで、残りの借金についての支払義務がなくなります。
個人再生で裁判所から認可決定を受けるには、以下の4つの要件を満たす必要があります。
このように、個人再生には、借金が大幅に減額するというメリットがある一方で、厳格な要件が定められています。個人再生を利用できるかどうか判断できない方は、弁護士に相談してみましょう。
個人再生のデメリットとしては、いわゆるブラックリストに載ること、手続きが複雑であること、官報に掲載されること、保証人に影響が出ることが挙げられます。
個人再生のデメリットは、いわゆるブラックリストに載ること(事故情報が信用情報に載ること)です。5~10年は個人再生を行なったという記録が残り、新たな借入れやクレジットカードの利用ができなくなります。
個人再生の手続きは、複雑な法的手続です。特に、退職金、保険解約返戻金、自動車、不動産、相続財産などの清算価値の計算や再生計画案の作成は、ご本人が一人で行なうには難しい作業です。
裁判所、債権者などとのやりとりをご本人が行なうことも、大きな負担になります。また、裁判所から認可決定を受けるまで弁護士に依頼するよりも時間がかかることがあります。複雑な手続きは、債務整理に詳しい弁護士に依頼することをおすすめします。
個人再生などの法的手続では、全ての債権者を手続きの対象としなければなりません。そのため、裁判所は、債務者の情報や手続きのスケジュールを官報に載せて知らせることで、全ての債権者が参加できるようにします。
官報には、個人再生をした事実や名前・住所などが掲載されますが、勤務先が定期的に官報をチェックしているような会社でない限り、自分の周りの一般の方が官報を見ることはまず考えられません。現実的には、官報に個人再生をした事実が掲載されたとしても、そのことから自分の周囲の方に個人再生を知られてしまう可能性は極めて低いといえるでしょう。
個人再生すると官報に載って周りにバレる?掲載されるタイミングは?
個人再生は、全ての債権者を対象としなければならないので、個人再生をすると、保証人がついている債務については、債権者から、保証人に対して債務者に代わって請求がいくおそれがあります(連帯保証人、連帯債務者も同様です)。保証人に影響が出ることも個人再生のデメリットといえます。
個人再生のメリットとしては、以下の点が挙げられます。
個人再生の注意点として、デメリット以外に、住宅を残せないケースがあることや税金、養育費、罰金などは減額されないことが挙げられます。
住宅ローン特則が認められるには、次の要件を満たす必要があります。
これらの要件を満たさない場合は、個人再生の手続き自体はできたとしても、住宅ローン特則が認められず、住宅を残せません。
裁判所に個人再生を申立てて、認可決定を受けると、借金が大幅に減額されます。しかし、税金、養育費、罰金などは、他の債務のように認可決定後も減額されず、支払義務もあります。下に個人再生の認可決定後も減額されないものの一例を挙げているので、ご参考にしてください。
自己破産とは、減収や失業といった収入面や介護や離婚といった生活面の変化により、借金を返済できなくなってしまった方が裁判所に申立てを行なうことで、一定の価値のある財産を清算して、債権者に配当する手続きです。その後、裁判所から免責決定されたら、残りの借金が免除され、借金がゼロになります。大幅に借金が減額され返済を続ける個人再生とは異なる点です。しかし、自己破産では、個人再生のように住宅を残すことはできません。なお、ブラックリストに載ること(信用情報に事故情報が載ること)、官報に掲載されることや保証人に影響が出るといったデメリットは変わりません。
自己破産 | 個人再生 | |
---|---|---|
どれくらい借金が減額される? | 全額が免責されます。 | ケースにより異なりますが、5分1など大幅に借金が圧縮されます。 |
住宅を残せる? | 残せません。 | 住宅ローン特則が認められれば、残すことができます。 |
ブラックリストに載る? | 載ります。5〜10年は新たな借入やクレジットカードの利用ができなくなります。 | 載ります。5〜10年は新たな借入やクレジットカードの利用ができなくなります。 |
官報に掲載される? | 掲載されます。 | 掲載されます。 |
保証人に影響が出る? | 影響が出ます。 | 影響が出ます。 |
制限される職業や資格がある? | あります。 > 制限される職業・資格 |
ありません。 |
任意整理とは、現在の支払いよりも負担を軽くするために、貸金業者やクレジットカード会社と利息のカットや分割回数(3年〜5年程度)について交渉し、今後の返済計画についての和解を結び、その計画を元に返済を続けて、借金を完済する手続きです。任意整理では、過払い金が発生していなければ、元金が減ることはありません。一方で、個人再生は、ケースにより異なりますが、借金が5分1など大幅に圧縮される点が大きく違います。また、任意整理も、個人再生と同様にブラックリストに載ります。
任意整理は、借入先と任意で交渉するため、対象から外せば、住宅を残せたり、保証人への影響を出ないようにしたりすることができます。また、自己破産や個人再生のように官報に掲載されることもありません。
任意整理 | 個人再生 | |
---|---|---|
どれくらい借金が減額される? | 将来利息のカット。元金が減ることはありません。 | ケースにより異なりますが、5分1など大幅に圧縮されます。 |
住宅を残せる? | 対象から外せば、住宅を残すことができます。 | 住宅ローン特則が認められれば、残すことができます。 |
ブラックリストに載る? | 載ります。約5年は新たな借入やクレジットカードの利用ができなくなります。 | 載ります。5〜10年は新たな借入やクレジットカードの利用ができなくなります。 |
官報に掲載される? | 掲載されません。 | 掲載されます。 |
保証人に影響が出る? | 対象から外せば、影響が出ません。 | 影響が出ます。 |
制限される職業や資格がある? | あります。 > 制限される職業・資格 |
ありません。 |
東京都出身、1987年 弁護士登録(東京弁護士会所属)、ホームワンの代表弁護士 中原です。一件のご相談が、お客さまにとっては一生に一度きりのものだと知っています。お客様の信頼を得て、ご納得いただける解決の道を見つけたい。それがホームワンの願いです。法律事務所ホームワンでは過払い金・借金問題に関する相談を受け付けています。
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