個人再生の流れ。手続きが完了するまでの期間はどれくらいかかる?

ここでは、個人再生の手続きの流れについて次の5つの段階に分けて解説します。

  • (1)ご相談から受任まで
  • (2)受任から申立てまで
  • (3)申立てから開始決定まで
  • (4)開始決定から認可決定まで
  • (5)認可決定から完済まで

それぞれの段階についての詳細を確認する前に、まずは全体の流れを表で確認してみましょう。

個人再生の全体の流れ(ホームワンに依頼した時の場合)

ご本人にやっていただくこと弁護士がやること
(1) ご相談から受任まで弁護士との相談
必要書類の収集
弁護士との契約
★ ご依頼(受任)
(2) 受任から申立てまで
(目安3〜10ヶ月)
弁護士費用の入金
毎月家計セットの提出開始
受任通知の送付
債権調査
申立書の作成
★ 個人再生手続開始の申立て
(3) 申立てから開始決定まで
(目安1〜2ヶ月)
(個人再生委員の選任)
履行テストの開始
裁判所からの補正指示への対応
個人再生委員との打ち合わせ
★ 個人再生手続開始決定
(4) 開始決定から認可決定まで
(目安5ヶ月)
家計の継続提出債権届出書
債権認否一覧表の提出
財産状況等報告書の提出
再生計画案作成・提出
★ 認可決定
(5) 認可決定から完済まで
(目安38ヶ月)
認可決定の確定
返済開始
★ 借金の返済が完了

受任から申立てまでの期間は、弁護士費用を分割払いするかどうかによって異なり、おおよそ3〜10ヶ月が目安です。申立てから認可決定までの期間は、おおよそ6~7ヶ月です。認可決定から認可確定までは約1ヶ月かかります。確定した月の翌月から概ね3年(36ヶ月)かけて減額した借金の返済を行ないます。

(1)ご相談から受任まで

弁護士とよく相談

弁護士が、ご本人の債務状況などについて把握した上で、解決方針が個人再生に適しているか診断します。なお、相談事務員が事前ヒアリングを行ないます。

ヒアリング内容

  • 債務状況・・・借入先、借入額、返済額、借入期間など
  • 資産状況・・・住宅、保険、車、預貯金、退職金など
  • 生活状況・・・家計収支、家族構成など

また、もしも個人再生が適していない場合は、任意整理自己破産といったその他の債務整理も含めて、最適な債務整理の方法について弁護士と検討し、解決方針を決めます。

必要書類の収集

弁護士との相談の結果、個人再生の方針となった場合は、ご本人に個人再生に必要な書類を収集していただきます。必要書類は、その人の資産状況によって異なります。

必要書類の例

  • 住民票
  • 戸籍謄本
  • 収入資料
  • 不動産資料
  • 保険資料
  • 車資料
  • 口座取引資料(通帳、取引明細)
  • 退職金資料

弁護士との契約(受任)

必要書類を確認後、正式に、ご依頼が決まると、個人再生手続申立ての委任契約を締結します。このタイミングで、住宅ローンを除いた債権者への返済を停止します。

(2)受任から申立てまで

受任後は、債権調査を行ない、申立ての準備をします。弁護士が申立書を作成し、裁判所へ提出します。

受任通知(債権者へ通知)

委任契約を締結した後、債権者へ受任通知を送付します。債権者が受任通知を受け取ると、督促・取立てがストップします。

毎月家計セットの提出

個人再生は、将来的に「継続又は反復した」収入があり、再生計画に則った弁済ができることが条件です。そのため、ご依頼以降、毎月1回、家計セット(家計簿、給与明細、通帳コピー)を提出していただきます。また、追加で必要書類がある場合はご提出いただきます。

弁護士費用の入金

弁護士費用を入金していただきます。ホームワンでは、分割払い(最大10回)も可能です。

弁護士費用

申立書の作成

弁護士が、これまでご提出いただいた資料や情報をもとに申立書を作成します。

個人再生手続開始の申立て

完成した申立書に必要書類を添付して裁判所に提出します。

(3)申立てから開始決定まで

申立て後は、裁判所や個人再生委員とやりとりを行ないます。それぞれの指示にしたがって、開始決定に向けて対応します。

個人再生委員の選任

東京地裁の場合は、申立てと同日に、個人再生委員が選任されます。なお、東京地裁以外の裁判所は個人再生委員が選任されない場合もあります。

裁判所からの補正指示の対応

裁判所から申立書の内容に関する追加説明や資料の追加提出を求められます(補正指示)。その補正指示にしたがって、対応します。

履行テストの開始

再生計画通りの返済ができるかどうかを事前にテストするために、積立トレーニング(履行テスト)を行ないます。東京地裁の場合、個人再生委員が、積立トレーニング用の専用口座を開設し、その口座に申立てから1週間以内に第1回目を振込みます。金額は、再生計画における計画弁済額とし、期間は6か月間とされています。

個人再生委員との打ち合わせ

個人再生委員が選任された場合、申立人(ご本人)は、個人再生委員と面接をします。面接では、申立書の内容確認作業が主になります。

個人再生手続開始決定

裁判所が、再生委員の意見を踏まえて、手続きを開始する旨の決定を出します。

(4)開始決定から認可決定まで

開始決定後は、積立トレーニングを含んだ家計セットを提出してもらいます。債権額(借金の金額)を確定させ、再生計画案を作成し、裁判所に提出します。

家計の継続提出

引き続き、家計セットを提出していただきます。

債権届出書

開始決定後に、裁判所が各債権者に対して、指定した期間内に債権を届け出るよう通知します。債権者は、指定された期間内に債権届出書を提出します。その後、裁判所から、弁護士のもとに提出された債権届出書が送られてきます。

債権認否一覧表の提出

提出された債権届出書をもとに、再生債権を認めるか否かを記載した債権認否一覧表を作成し、裁判所に提出します。

財産状況等報告書の提出

申立ての時点から財産に変動があったかどうかを記載した財産状況等報告書を提出します。

再生計画案作成・提出

確定した債権額に基づく返済計画をご本人と相談し、弁護士が再生計画案を作成します。個人再生委員が選任されている場合には、個人再生委員に作成した再生計画案をチェックをしてもらった後に、裁判所に提出します。再生計画案には、提出期限が設けられており、期限内に提出ができなかった場合には、事情の如何を問わず、手続きが廃止になってしまいます

認可決定

裁判所は、提出された再生計画案と個人再生委員からの意見書をもとに、書面決議(小規模個人再生手続きの場合。給与取得者等再生手続きの場合は意見聴取)に付するかどうかを決定します。書面決議に付する旨の決定がされると、各債権者にその旨が通知され、再生計画案に対する同意・不同意に関する意見書を提出してもらいます。ここで、債権者数の半数以上または総債権額の過半額の不同意(反対)があると、個人再生手続きは廃止となってしまいます。

つまり、債権者の半数以上および債権額の過半数の反対が出なければ、書面決議は可決となります。

書面決議が可決すると、個人再生委員は裁判所に再生計画認可についての意見書を提出し、裁判所は、個人再生委員からの意見書や再生計画案の履行実現性などを踏まえて、再生計画の認可(または不認可)を決定します。申立て後から認可決定までの期間は、おおよそ6~7ヶ月間かかります。手続き毎の標準スケジュールは下記のリンクよりお確かめできます。

個人再生手続参考書式(日弁連)

(5)認可決定から完済まで

認可決定を受けたら、再生計画に基づいて、完済まで返済を継続します。

認可決定の確定

認可決定を受けたら、約1ヶ月後に、認可決定が確定します。確定後は、確定証明書や各債権者への返済口座の一覧等をご本人に送付し、弁護士との委任契約は、終了となります。

返済開始

再生計画認可決定が確定した月の翌月から、再生計画に基づいた返済を開始します。返済が遅れそうな時や、できない時は、ご本人で連絡する必要があります。

完済

再生計画に基づいて、概ね3年かけて減額した借金を返済し続けて、完済できたら、残りの借金の支払い義務も免除されます。

個人再生 手続きの流れ まとめ

  • 個人再生の受任から申立てまでの期間はどれくらい?
    弁護士費用を分割払いするかどうかによって異なり、おおよそ3〜10ヶ月が目安です。
  • 督促・取立てはいつストップする?
    弁護士と委任契約を締結した後、債権者へ受任通知を送付します。債権者が受任通知を受け取ると、督促・取立てがストップします。
  • 個人再生をするために必要な書類は?
    住民票、戸籍謄本、収入資料、不動産資料、保険資料、車資料、口座取引資料(通帳、取引明細)、退職金資料などがあります。
代表弁護士中原俊明
中原 俊明法律事務所ホームワン 代表弁護士

東京都出身、1987年 弁護士登録(東京弁護士会所属)、ホームワンの代表弁護士 中原です。一件のご相談が、お客さまにとっては一生に一度きりのものだと知っています。お客様の信頼を得て、ご納得いただける解決の道を見つけたい。それがホームワンの願いです。法律事務所ホームワンでは過払い金・借金問題に関する相談を受け付けています。

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