自己破産したら、人生の終わり…そんな思いをお持ちの方も多くいらっしゃると思います。実際にはそんなことはありません。自己破産は、多重債務に苦しむ人を更生させるため、国が認めた経済的に立ち直る手続きです。自己破産したから人生が終わるようであれば、自己破産手続の意味がありません。ここでは、そのような不安をお持ちの方のために、自己破産後の生活について解説していきます。
99万円以下の現金は手元に残しておくことができます。自動車やバイクは原則として、資産とみなされますので、価値が20万円以上のものについては、処分し、債権者への弁済に充てられます。家具・家電・衣類など、生活するために最低限必要とされるものは処分されず、残されます。
自己破産時に所有している車は、自動車ローンの支払いが終わっている場合と、支払いが残っている場合とで、処分の条件が異なります。
自動車ローンが残っていない場合には、自動車の時価が20万円以上である場合、原則として自動車は処分されてしまいます。
自動車ローンが残っている場合には、ローン会社との契約によりローンを完済するまでの間は、自動車の所有権がローン会社に留保されていることが通常です。そのような場合、自動車の時価に関わらず、ローン会社に自動車を引き揚げられてしまうのが原則です。
信用情報機関のブラックリストに事故情報が載っている期間は、分割で携帯電話本体を購入するのは難しくなる可能性があります。
一般的な携帯電話の契約は、毎月の通話料金と携帯本体価格の分割代金に関するものです。携帯本体の分割代金の残高がある場合に自己破産すると、その債務は免除されますが、携帯電話を利用することはできません。
ただし、携帯本体の分割代金が完済されていて通話料金の滞納がなければ、以前と同様に使用することは可能です。
破産したからといって仕事を辞めなければならないということはなく、仕事はそのまま続けられます。一定の資格を使う仕事は、手続期間中に就業制限がかかる場合もありますが、免責確定後は復権しますので、また同じように働くことができます。
また、破産した情報は、官報に記載されますが、ほとんどの人は見ていないので、勤務先に知られる事もありません。もしなんらかの事情で勤務先に破産したことが知られたとしても、勤務先に借入れがあった場合など、特別な事情がある場合を除いては、破産したことだけを理由に解雇することは原則認められません。
自己所有の不動産でなければ、そのまま住むことが出来ますが、自己所有の場合は、処分の対象になります。破産手続が始まるまでに時間もありますので、その間に転居費用を貯えるなど、転居の準備をしてください。どうしても住宅を残したい場合には、個人再生手続という選択肢もあります。
賃貸住宅にお住まいの場合はそのまま住むことが出来ます。平成16年の民法改正までは、賃借人が破産をすると賃貸人は、賃貸借契約の解約申し入れができると定められていました。しかし、この規定に対する批判が強かったことから当該規定は削除されています。そのため、破産したことにより家を出て行かなくてはならないということはありません。ただし、家賃滞納も破産手続に含めた場合は、滞納した家賃も免責になるので、その場合は出て行かざるを得ません。
自己破産後も新しく賃貸住宅を借りることは出来ます。自己破産した後に転居出来ないといった心配はありません。ただし、自己破産後5~10年は信用情報機関(CIC、JICC、全銀協)に破産した情報が登録されていますので、家賃の支払いをクレジット決済で行なう場合や、信販系の家賃保証会社を利用する場合は、審査が通らない可能性があります。
制限はありませんのでそのまま受け取れます。自己破産後(破産開始決定後)に得た財産は、「新得財産」といい、財産処分の対象にはなりません。ただし、年金担保貸付を受けている場合は、破産をしてもその債務(借金)については免責を受けることは出来ないため、債務(借金)が完済となるまで年金を受け取ることが出来ない場合もあります。
自己破産した情報は、官報には掲載されますが、ほとんどの方は見ていません。また、誰かが自宅に来たり、張り紙を貼られたりといった事もありませんので、基本的に親族や友人、近所の方に知られると言う事はありません。
原則、ご自身名義の財産・負債が対象になりますので、基本的にご家族に影響はありません。ただし、住宅を家族で共有している場合や、妻が保証人になっている場合は影響が出てきます。妻が保証人になっている場合は、破産手続の効力は保証人には及びませんので、妻が支払っていく必要があります。
また、子供がいる方が自己破産をする場合、ご自身が破産することによって、子供の進学などに悪影響がないか心配される方がいますが、親が自己破産していたとしても、進学には影響ありません。ただし、子供が奨学金を借りる場合、一般的に奨学金は保証人が必要になりますが、自己破産後は保証人になれないため、自身以外の人に保証人になってもらう必要があるかもしれません。
他にも、ご自身が、知人の借金の保証人になっているような場合は、破産手続きで保証債務も免除になってしまうため、債権者から知人に対して、あなた以外の別の保証人を立てるように言われる等の影響が出る可能性があります。
住民票や戸籍に載ることはありません。かつては破産すると、その旨が本籍地の市町村役場に通知が行くことになっていました。本人以外には開示されませんが、地方の方だと知人が役場に勤めていることが多く、そのため破産を躊躇される方もいらっしゃいましたが、平成17年施行の破産法改正に伴う通達により、現在は破産したからといって、ただちに本籍地の役場に連絡が行くことはなく、免責が不許可になった場合のみその旨の通知が行くことになりました。
破産した情報が信用情報機関に登録される期間は、CIC、JICCの場合は5年、全銀協の場合は10年です。その後は、クレジットカードを作ったり、ローンを組んだりすることは出来ます。
自己破産をしても戸籍や住民票に記載されることはありませんので、知られる可能性はきわめて低いです。
かつては破産すると、その旨が本籍地の市町村役場に通知が行くことになっていました。本人以外には開示されませんが、地方の方だと知人が役場に勤めていることが多く、そのため破産を躊躇される方もおられました。
しかし平成17年施行の破産法改正に伴う通達により、現在は、破産したからといって、ただちに本籍地の役場に連絡が行くことはなく、免責が不許可になった場合のみその旨の通知が行くことになりました。
また、破産をすると、官報(法律等を公布するため、政府が発行する日刊紙のようなもの)に掲載されますが、一般の人が官報を見る可能性はきわめて低いと言えます。また、裁判所から勤務先に連絡が行くようなこともありません。
ただし、勤務先や親族・友人から借入れをしている場合は、手続上、債権者として含みますので、その方々には知られます。
過去に自己破産していても、生活保護が受けられないと思われるかもしれませんが、決してそんなことはありません。
生活保護は、健康で文化的な生活を保障するためのものであり、自己破産していても、生活をするために必要であれば生活保護を受給することができます。
ただし、生活保護が必要な状況(最低限の収入がないことや仕事ができないなど)にあることが必要です。
自己破産をしても、裁判所から勤務先に連絡が行くようなことはなく、基本的に会社に知られてしまうことはありません。破産をすると国が発行している新聞とも言える官報に掲載されますが、一般の人で官報をまめにチェックをしている人は少なく、会社に知られてしまう可能性は低いといえます。
奨学金を借りていたら、自己破産できないと言われることがありますが、自己破産の条件を満たしていれば、自己破産することができます。自己破産で免責が許可されれば、奨学金を返還する義務が免除されるので、奨学金がゼロになると言えます。
実際、日本学生支援機構は、2012年度から2016年度において、自己破産して奨学金の債務が免責された件数は、返還者本人で8,108件、連帯保証人で5,499件、保証人で1,731件あったと発表しています。
ただし、自己破産しても、奨学金の返還義務が免除されるのは、破産した本人だけですので、借りている人が自己破産すると、連帯保証人・保証人が奨学金の返還請求を受けることになります。
債務整理、特に破産事件を数多く取り扱ってきた。これまでに破産申立を行なった件数は6000件以上。依頼人の利益を考えることを第一に、法律サービスをもっと身近なものにしていくことを目指す。東京弁護士会春秋会の一員として編集に携わった書籍に『実践 訴訟戦術-弁護士はみんな悩んでいる-』などがある。