最高裁判決の要点と解説
平成23年3月22日最高裁第三小法廷判決
貸金業者Aが廃業に伴い、貸金を全て業者Bに譲渡した場合、それが営業譲渡であったとしても、過払金債務までがAからBに当然移転するわけではありません。
最高裁は、「貸金業者(以下「譲渡業者」という。)が貸金債権を一括して他の貸金業者(以下「譲受業者」という。)に譲渡する旨の合意をした場合において、譲渡業者の有する資産のうち何が譲渡の対象であるかは、上記合意の内容いかんによるというべきであり、それが営業譲渡の性質を有するときであっても、借主と譲渡業者との間の金銭消費貸借取引に係る契約上の地位が譲受業者に当然に移転すると解することはできない。」当該債権譲渡契約には「本件譲渡契約は、上告人が本件債務を承継しない旨を明確に定めるのであって、これが、被上告人とAとの間の金銭消費貸借取引に係る契約上の地位の移転を内容とするものと解する余地もない。」としました。
シティズ判決が出るまで、消費者金融は成功したビジネスモデルでした。そのため、大手貸金業者の一部は、積極的に中小貸金業者を買収し、貸付債権の規模を増やしていきました。
吸収合併の場合は、吸収された会社の債権・債務は、法律上当然に全て吸収した会社に移転しますので、過払金債務も吸収した会社に移ります。
ユニマットをCFJが、パン信販をシンキが吸収合併した場合が、これにあたります。
しかし、これとは違って、マルフク・タイヘイ・千代田トラスト(旧本田ちよ)はCFJに貸金債権を一括譲渡する形をとりました。
本判決の結果、マルフク・タイヘイ・千代田トラスト時代に過払金が発生していた顧客は、一括譲渡時点にあった過払金債務を、CFJに請求することはできなくなりました。
ライフが旧会社更生法により平成12年6月30日以前に発生した過払金が失権したことを主張しても信義則に反せず、権利濫用にもならない
東京都出身、1987年 弁護士登録(東京弁護士会所属)、ホームワンの代表弁護士 中原です。一件のご相談が、お客さまにとっては一生に一度きりのものだと知っています。お客様の信頼を得て、ご納得いただける解決の道を見つけたい。それがホームワンの願いです。法律事務所ホームワンでは過払い金・借金問題に関する相談を受け付けています。
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