クレジットカード会社などへの借金の返済を滞納していると、裁判所から呼び出しの書類が届くことがあります。突然のことで、何をすればよいのかわからず、無視したいと思ってしまうかもしれません。しかしこの場合、対処の仕方によっては、自分を不利な立場に追い込むことにもなりかねませんので、このページで紹介するような方法で、慌てずに、落ち着いて対処しましょう。ここでは、裁判所からの呼び出しへの対処の方法と、根本的な借金問題の解決方法について解説します。
借金の返済が遅れた場合、必ず裁判を起こされる訳ではありません。業者によって、延滞中の債務者に対する対応が異なり、3か月経過したら必ず訴訟を提起する業者もいれば、一定の条件に当てはまる場合だけ訴訟を提起する業者もいます。
公務員や大企業の社員だと、裁判は起こされやすいでしょう。こうした人は給与差押えを避けるため裁判すれば必ず払ってくるだろうと考えられているからです。借金が高額な場合も、業者としては放っておけず、裁判になるケースが多いでしょう。借りた後、数回返済しただけで支払いがストップしたような人など、業者から悪質な債務者とみられるようなケースも裁判になりやすいです。
返済せず放置していると、利息がかさみます。延滞利息は通常年20%ですが、5年経てば未払い利息は100%になり、元金の2倍の支払いが必要になります。加えて、延滞後5年近くなると、時効となるのを防ぐため、時効直前に訴訟を提起することも多く、この場合多額の返済が必要になります。
裁判を起こされた場合、決して無視はしないでください。その上で、まずは時効の可能性がないかを確認してみましょう。最後に返済をしてから5年(業者が会社の場合)ないし10年(業者が個人業者、農協、信用金庫、信用組合等会社ではない場合)経っている場合は、時効を主張することで、借金を払わずに済みます(その債権が令和2年4月1日以降に生じたものであれば、改正民法が適用され、時効期間は一律5年になります)。時効になっていなかったとしても、裁判の中で分割払いを申し出れば、裁判官が間に入って、分割払いの話をまとめてくれることもあります。
そのまま放置すると、欠席判決と言って、相手方の主張する金額をそのまま認める判決が出て、それが確定してしまいます。改めて、その請求が不当だと言って、裁判を起こして争っても、一度出た判決は覆りません。
そして、判決が出た後も払わないと、業者はまず給与を差押えてきます。というのも、いったん給与を差し押さえれば、その後完済となるまで給与の約4分の1の額が毎月業者に払われるためです。加えて、これが原因で会社をクビになった場合には、退職金も約4分の1の額が業者に支払われます
裁判所から送られてきた書類が「訴状」、「支払督促」、「債権差押命令」、「競売開始決定」のどれであるかによって、対処方法が違ってきます。
送られてきた書類が訴状の場合、どう対処したらよいでしょう。封筒の中には、訴状のほか、裁判期日が記載された通知や、答弁書用紙が入っています。裁判期日に出頭しないと、即日結審し、早いときは1週間ほどで判決が出てしまいます。時効を主張するのであれば、それを主張する必要がありますし、時効になっていない場合でも、分割返済を求める等して、差押えられないよう判決を避けるべきです。
弁護士を立てて争う場合は、弁護士も検討の時間が必要ですので、時間的余裕をもって依頼しましょう。期日までに弁護士を立てることができない場合は、答弁書に、請求の棄却を求め、後日追って具体的な主張をする旨、現在弁護士を探している旨を記載し、判決が出ないように引き延ばす必要があります。期日をうっかり過ぎてしまったとしても、判決が出るまでは、裁判を終結させず再開してくれるよう求めれば、応じてくれることが多いため、諦めないでください。
続いて、「支払督促」が送られてきた場合の、対処の方法です。 訴状が送られてきた場合、裁判官が判決を書かない限り、差押えされることはありませんが、支払督促の場合は、異議を申し立てないと差押えされてしまいます。
異議を申し立てると、裁判に移行しますので、裁判の中で時効を主張したり、分割返済交渉などをすることで、差押えを回避することができます。 仮に、支払督促を受け取って異議を申し立てないまま、2週間経過してしまうと、相手から差押えの許可を求める申立てがなされ、これについても異議を申し立てないまま2週間たってしまうと、いよいよ差押えに移っていくことにもなりかねません。ただ、支払督促は裁判所の書記官により形式的審査が行われるだけで出されるものであるため、裁判を起こして強制執行を止めることも可能です。
「債権差押命令」が送られてきた場合、これが判決を元になされたものだとしたら、争いようがありません。公正証書に基づくものであれば時効を主張することも可能です。
「担保不動産競売開始決定」が送られてきた場合、抵当権者と交渉して、不動産屋を通じて売却するので競売は取下げてほしいと申入れ、これに応じてもらう必要があります。競売手続きが始まっても落札者が代金を納付するまでは抵当権者による取下げが可能ですが、開札日以降は落札者の同意がないとは取り下げができないため、事実上、開札日前までに、抵当権者の同意を得て、売却を完了させる必要があります。
裁判を起こされた場合、その業者とは分割弁済の和解ができたとしても、他にも多額の借金がある場合は注意が必要です。 他の業者も裁判してくるかもしれず、その場合、和解しようにも払えるだけの収入がないこともあるからです。
時効を主張できる業者は時効を主張する必要があります。注意していただきたいのは、時効になっている債権であっても、「その債権は時効だ」と主張しないと(時効の援用といいます)、そのまま相手の請求が判決で認められてしまう、ということです。判決が出た後になって、時効だと主張しても手遅れなのです。
さらに、業者に支払い猶予を願い出たり、分割返済する旨を申し出たり、千円、数千円というわずかなお金を払ったりすると、時効を主張することができなくなり、さらにそこから5年ないし10年経たないと、時効は完成しません(消滅時効の更新)。業者はこれを狙って、自宅を訪問する際に、交通費がかかったからその分だけでも払ってくれなどと言って、千円でも数千円でも払わせようとしますので、注意が必要です。
参考リンク)消滅時効の援用とは
「時効援用できる業者がない」、「時効援用できた業者もいるが、援用できない業者への借金が多額で到底払いきれない」という場合は、破産や個人再生を裁判所に申し立てるしかありません。
ただ、住宅ローンを返済中の自宅不動産がある場合、破産すると自宅を失うため、個人再生手続きを検討する必要があります。個人再生手続とは、借金の5分の1の額(但し最低でも100万円を払う必要あり)と資産総額のうち、高い方の金額を3年~5年払うことで借金を0にする制度です。
裁判所の破産手続開始決定があると差押えができなくなりますし、給与が差し押さえられている場合も差押えが解除され、再び給与を受け取ることができるようになります。 個人再生の場合は申立てをすれば、裁判所の決定が出る前に、裁判所に申立てをして差押えを停止することができます。
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