自己破産を検討中の方にとっては、手続きにだいたいどのくらいの期間がかかるのかどうかは、気になるところだと思います。手続きにかかる期間は、個別のケースによって異なるため、一律でこれくらいの期間と示しにくい部分がありますが、ここではおおよその目安というかたちで、手続きにかかる期間について解説します。
自己破産の手続きは、大きく分けて「管財事件」と「同時廃止事件」の、いずれかの手続きに分かれます。ただし、管財事件については、通常管財と少額管財事件(裁判所によって名称が異なります)があり、東京地方裁判所の場合は、少額管財が主流です。そのため、ここでは、同時廃止事件と少額管財事件について説明します。
それぞれの手続きにかかる期間の目安は以下の通りです。
手続きの種類 | 同時廃止事件 | 少額管財事件 |
---|---|---|
(1)依頼から申立てまで | 3~6ヶ月 | |
(2)申立てから破産手続開始決定まで | 即日※ | 約1週間 |
(3)破産手続開始決定から免責決定まで | 約2ヶ月 | 2~3ヶ月 |
東京地方裁判所の場合。
弁護士費用を分割払いにしている場合は、基本的に全額入金後の申立てとなります。
「破産手続開始決定」というのは、文字通り手続きの開始を意味しますが、この時点から免責を受けるまでの間に、後述するいくつかの制限が発生します。
弁護士に依頼したタイミングで、借金の取り立てはストップ
自己破産の相談に来られる方は、日々の借金取り立てにお悩みの方が多くいらっしゃいますが、債権者からの取り立ては、依頼を頂いた時点でストップしますのでご安心ください。
「同時廃止」手続とは、破産手続開始決定と同時に破産手続を廃止(終了)し、その後、免責手続だけを行なうという簡易な手続きです。
以下の条件が当てはまる場合、同時廃止手続がふさわしいと判断される可能性が高いです。
同時廃止の場合には、申立てから2ヶ月程度で手続きが終了します。
申立てまでの準備に、3~6ヶ月程度かかりますので、ご依頼いただいてから手続き終了までは、だいたい5~8ヶ月程度が目安となります。
東京地方裁判所の場合
「少額管財」手続とは、裁判所が破産管財人(通常は弁護士)を選任して進む手続きです。破産管財人は、裁判所に代わって破産者の財産の調査を行ない、債権者への配当に充てられる財産がある場合は、その財産を換価して(お金に変えて)、債権者への配当をおこないます。
同時廃止か少額管財かは、個別の事案において裁判所が判断しますが、下記のようなケースは、同時廃止手続で申立てを行なっても、裁判所の判断で少額管財手続になる可能性があります。
少額管財の場合は、ご依頼いただいてから申立てをするまでに3~6ヶ月かかり、申立てから破産手続開始決定までに約1週間 、その後の手続き終了までに2~3ヶ月程度かかります。合計では5~9ヶ月程度かかります。
ここまで見てきたように、破産手続は順調に進んでも申立てまで3ヶ月はかかります。手続きの過程で特に時間が取られやすいのが、必要書類を収集する作業です。必要書類は事前に案内しますので、手続きにかかる時間を延ばさないために、できるだけ早めに準備することが大切です。
破産開始決定から免責許可が確定するまでの期間は、人の財産にかかわる資格(弁護士・公認会計士・生命保険募集人・宅地建物取引主任者・警備員など)について、資格を使用した仕事ができなくなります。
破産開始決定から免責許可の確定までにかかる期間は、あくまで目安ですが、同時廃止の場合は約3ヶ月、少額管財の場合は3~4ヶ月程度のケースが多いです。
弁護士、司法修習生、検察審査員、弁理士、司法書士、土地家屋調査士、不動産鑑定士、公認会計士、税理士、社会保険労務士、行政書士、中小企業診断士、通関士、宅地建物取引主任者、旅行業務取扱主任者、公証人、簡易郵便局長、商工会の役員、証券取引外務員、商品投資販売業、証券業、投資顧問業、貸金業、割賦販売あっせん業者、質屋、生命保険募集人及び損害保険代理店、一般労働者派遣事業者、旅行業者、警備員、警備業者、建設業、建築士事務所開設者、風俗営業を営もうとする者、風俗営業の営業所管理者、一般廃棄物処理業者、卸売業者、調教師、騎手、代理人、後見人、後見監督人、保佐人、補助人、遺言執行者、等
自己破産をすると信用情報機関に事故情報が記録されます。そして、事故情報が記録されている間は、その信用情報機関に加盟している会社では、クレジットカードを作ることはできません。
現在、信用情報機関には、日本信用情報機構(JICC)、シー・アイ・シー(CIC)、全国銀行個人信用情報センターの3つがあります。事故情報が記録される期間は、全国銀行個人信用情報センターは10年、JICC、CICは5年と言われています。ただし、期間については多少前後する場合がありますので、5年経てば必ずクレジットカードが作れるというわけでもありません。
信用情報機関 | 事故情報が記録される期間 |
---|---|
日本信用情報機構(JICC) | 約5年 |
シー・アイ・シー(CIC) | 約5年 |
全国銀行個人信用情報センター | 約10年 |
債務整理、特に破産事件を数多く取り扱ってきた。これまでに破産申立を行なった件数は6000件以上。依頼人の利益を考えることを第一に、法律サービスをもっと身近なものにしていくことを目指す。東京弁護士会春秋会の一員として編集に携わった書籍に『実践 訴訟戦術-弁護士はみんな悩んでいる-』などがある。
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