利用した額にかかわらず、毎月の返済額を一定に決められて便利なリボ払い(リボルビング払い)。
クレジットカードを持っていれば、支払方法の変更をするだけで簡単に利用できますが、使い方によってはいつの間にか利用残高が大きく増えていて、なかなか支払いが終わらないということもあります。
実際にホームワンで債務整理をした事例では、趣味が高じてクレジットカード決済での浪費をやめられず、返済方法をリボ払いにしていて、気がついたら利用総額が大きく膨らんでいて返済ができなくなったというケースがあります。
最近、借金問題に関する相談で増えているのが、スマートフォンゲームなどインターネットのゲーム課金でクレジットカードを利用し、返済方法をリボ払いにしていたら、いつの間にか借入総額が大きくなり、返済が厳しくなってしまったというケースです。
課金をしないと手に入れることができないアイテムがあり、それを入手するためにクレジットカードを使って課金を始め、最初は少額にとどめていたものの、次第に課金額が増えていき、毎月の支払額をおさえるために返済方法をリボ払いに変更したという流れです。
ゲーム課金は、オンライン上で決済を行なうため、現金や実際の物の動きがなく、いくら購入したかを感覚的に把握しづらく、気がつけば支払能力を大きく超えて課金していたということもあります。
このような相談が増えている背景には、スマートフォンゲームの普及に加えて、コロナ禍での外出自粛やテレワークの推奨などにより、自宅で過ごす時間が増えて、暇つぶしにゲームをする時間が増えているということもあるようです。
また、オンラインゲームでは、ネット上での人間関係が生まれることも多く、レアアイテムをゲーム内の仲間に自慢したい、強いアイテムを入手して仲間の役に立ちたいなどの理由で課金を重ねることもあるようです。
実際の相談例では、ゲーム課金のためにリボ払いでクレジットカードを利用して、最初のカードが限度額に達すると次のカードで課金して・・・というように複数のクレジットカード全てで限度額まで利用してしまったという方もいます。
ゲームを楽しむことには何も問題はありませんが、クレジットカードで決済をするのなら、将来の返済を見越して計画的に利用しないと、予期せぬ支払いで家計が回らなくなり、生活を送ることが難しくなる危険性があります。
例えば、正社員として働いていて安定した収入がある方でも、リボ払いでの利用を続けた結果、支払いが難しくなって相談に来られる方も多くいます。
毎月安定して収入があるため、一定額の支払いですむリボ払いなら返済に困らないと思って利用を続けていると、いつの間にか借入残高が増えていて、完済の目途が立たなくなるのです。
リボ払いは、一般的に実質年率15〜18%と手数料が高く設定されています。月々の支払額は低く抑えられますが、利用残高が増えると、その分、毎月の手数料も増え、返済を続けても利用した元金が減らず、完済までの期間も長くなります。
債務整理の相談に来られる方のお話を聞いていると、毎月の支払いに「滞納」が生じたタイミングで、自分だけではどうしようもなくなり相談をしたというケースが多いです。
手元の現金が不足し、毎月の支払期限までに支払いができず、支払いの「滞納」が生じたところでカード会社から督促の連絡が入り、今後どうすればよいのかという相談です。
また、自分自身でどうにか滞納を解消しようとして、他の業者から借入をして返済にあてるという自転車操業をしてしまい、さらに負債を増やしてしまうという悪循環に陥り、最終的には複数の業者から限度額まで借入をしてしまったという相談も多いです。
ひとつのカードで支払いが遅れると、その時点で既に収入に対する支払能力を大きく超えていると考えられるため、その後も同様に支払いを続けていくことは難しいのです。
自分自身の収入から生活費等を計算して、毎月の返済にあてられる額(家計余剰額)が、実際の毎月の支払請求額を下回っている場合、もはや返済は不可能であるとして自己破産を選択せざるをえない場合もあります。
自己破産は、減収や失業といった収入面・生活面の変化で借金を返済できなくなってしまった場合のみならず、自分の支払能力を超えた借金を作ってしまった場合にも選択肢になります。
自己破産をすると、5年から10年の間、信用情報機関に自己破産手続をしたという記録(事故情報・異動情報)が残り、その間、新たにクレジットカードの契約をしようとしても審査に通らなくなるというようなデメリットがあります。
しかし、自己破産をすれば、今ある借金の支払い義務が免除されるので、いつまでも返済を続けても終わりの見えない生活から抜け出して、生活の再建を図れるという大きなメリットがあります。
自己破産をせざるを得なくなったとして、注意しなくていけないのは、ゲーム課金で借金を増やした場合、免責不許可事由にあたることです。
免責不許可事由とは、借金をした理由などから、自己破産による免責(支払義務の免除)を許可すべきでないとされているものです。
免責不許可事由の主なものとしては、競馬やパチンコなどのギャンブルが挙げられますが、ゲーム課金も浪費により借金を増やしたものとして免責不許可事由にあたります。
ただし、免責不許可事由にあたるとしても、絶対に免責が認められないわけではなく、今後同じ失敗を繰り返さないように自らの行ないを反省して真摯に生活再建に取り組み、自己破産の手続でもその姿勢を示すことができれば、ほとんどの場合で裁判官の判断により免責が認められます(裁量免責といいます)。
すなわち、ゲーム課金で多額の借金をつくったとしても、そのことだけで自己破産で免責が認められないということはありませんが、免責を受けるためには、しっかりと反省して今後の生活再建に取り組むことが求められます。
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